2019年9月11日、ドーバー洋酒貿易様との共催にて、ジル・マルシャル氏によるデモンストレーションを開催いたしました。
ジル・マルシャル氏による講習会は、今年で4回目となりましたが、その人気は留まることなく、予定人数を大幅に上回り、熱気に包まれた中、生菓子3品、焼菓子1品、デセール1品の計5品を披露頂きました。
1品目のアントルメは、KAOKA社チョコレートを使用した生菓子。ムースショコラにクレムーノワゼット、キャラメル、クルスティアン・ペカン等で構成された一品。
ムースショコラには、同氏がKAOKA社のチョコレート全種をテイスティングした結果選定した「サントメ75%(日本未発売)」と「リオアリバ70%」を使用。普段からいくつかのチョコレートを組み合わせ自分好みの味を作り出しているそうで、これらの2品をブレンドし、力強いカカオ感のムースショコラに仕上げ、受講者の皆様から高い評価を頂きました。
2品目アシェットデセールは、リオレと秋の味覚「ポワール」を主役とした一皿。昔ながらのリオレを「グランマルニエ」の香りのムースに仕立てて洗練させ、ポワールはソルベ、キャラメリゼ、フレッシュと3種類の異なる味覚に展開、仕上げにトンカ豆を効かせた薄焼きの生地で香りと食感をプラスした贅沢な一皿でした。
ジル氏から「アルコールを使用しないお店が増えているが、お菓子にとても相性がよいのでぜひ活用してほしい」というお話や、引き続き高値となっているバニラビーンズの話題にも触れ、「バニラほど香りが強いわけではないが、トンカ豆は香りづけがしやすい素材」であるというお話もありました。
3品目「サクレクール」は、KAOKA社の「アンカ」を使用したムースショコラブラン、ライムを効かせたフランボワーズコンフィのセンターにピスタチオのビスキュイを仕込んだ、ショコラブランの優しい風味とフランボワーズの酸味の絶妙なバランスを味わって頂ける逸品でした。
ムースショコラは、口触りよく仕上げるため、生クリームを泡立てすぎないこと、またクーベルチュールブランは温度に細心の注意を払うなど技術的なアドバイスがありました。
4品目「タルトレット・エスプレッソ」は、KAOKA社のミルクチョコレート「ボナオ」と「カフェ」をテーマにした生菓子。ビスキュイとクレムダマンド以外のすべてのパーツにコーヒーを使用しており、一見、カフェ感が強く感じられそうですが、KAOKAチョコレートのカカオ感とコニャックを活かしながら、くるみがアクセントとなり、カフェが苦手な人でも食べやすく仕上げておられました。
最後に焼菓子「ガトーロラン」。ミラベルで有名なロレーヌ出身のジル氏が、おばあちゃんの作ってくれた思い出の味をアレンジしたそうです。ミラベルを加えた生地を焼成し、焼き上がりにレモン汁とミラベルをたっぷり塗って仕上げました。おばあちゃんは、ミラベルのリキュールを沢山かけていたそうです。かけた後、再度オーブンに入れてアルコール分を飛ばしていたそうですが、再びかけていた(笑)とおばあちゃんとの思い出を話してくださいました。
毎回、様々なレシピを通し、経営に関する事や技術的なアドバイスなどお話をくださる同氏ですが、今回の講習会は、丁寧な作業を経て仕上がった生地やクリームに、リキュールやトンカ豆など様々な“香り”をプラスすることで、おいしさの幅を広げ、深い味わいのお菓子に仕上げる、そういった表現力を感じることができるが講習会だったように感じました。
講師:ジル・マルシャル氏
日程:2019年9月11日(水)
場所:ドーバー洋酒貿易株式会社