2018年9月12日、ドーバー洋酒貿易様との共催にて、ジル・マルシャル氏によるデモンストレーションを実施しました。
ジル氏による講習会は昨年に続き今年で3回目となりますが、告知後1週間ほどで満席になる程の人気で、会場は予定人数を大幅に上回り、前回を凌ぐ熱気に包まれながら行われました。ジル氏の哲学「シンプル、おいしさ、美しさ」のもと、これからのシーズンにピッタリな栗やチョコレートを使用した生菓子3品、焼菓子1品、デセール1品の計5品が提案されました。
1品目はビュッシュ。昨年はマロンのビュッシュでしたが、今年はフレーズとオランジュのビュッシュ。なんと、今季のクリスマスに向けたレシピを惜しみなくご披露頂きました。
日本の軽い食感のショートケーキが好みというジル氏。パーツの1つであるムース・フレーズは修行時代から使用している配合で、時代にあわせゼラチンの量を調整されているそうです。また、生クリームの泡立て方がポイントで、最終的にイメージするテクスチャーに仕上げる為、最初の段階でモンテしすぎないようにというアドバイスがありました。
2品目は「フィーヌシャンパーニュ」。名前だけきくと、「シャンパン」を使用したお菓子を想像してしまいますが、作品名の由来は、クレームムースリーヌに使用しているコニャックの原料となるぶどうの産地から来ています。この作品は、ビスキュイ、クレームムースリーヌ、ムースショコラ及びノワゼットキャラメリゼで構成されていますが、当日仕込むのはムースショコラのみのため、味だけでなく、作業効率がよいのがポイントだそうです。
3品目は「タルト」。自家製のキャラメル、アングレーズベースのムースショコラ、そしてシナモンが香る赤ワインでポワレしたドライフルーツのバランスが絶妙な、これからの季節にぴったりの作品。繊細な作業を必要とするこだわりのキャラメルをビスキュイにナッペすることで、味にアクセントを加えていました。前回に続き、依然として高騰しているバニラビーンズの話がありましたが、その対策としてジル氏のお店では、風味豊かなキャラメルで代用できるもの、例えばミルフィーユ等はキャラメルに置き換えているというお話がありました。
4品目は栗のデセール。栗のパルフェグラッセを中心に、アングレーズマロンやヴェルミセルマロンをデコレーションし、アングレーズマロンのソース。マロンの味を高める為、あえて別添えにしたオランジュカルダモンのソルベが最高の逸品でした。
最後は焼菓子です。完熟したバナナ、パイナップル、パッション(ピューレ)、ココナッツ(ファイン)などのエキゾチックフルーツを使用したしっとりタイプのケーク。クレームオブールヴァニーユをトップに絞った可愛らしい仕上がりでした。
前回迄の講習会では、ご自身の菓子のスタイルやポリシー、そして、現場で直面する問題など経営者目線の細やかな説明が多かったように思いますが、今回の講習会では、美味しく作るためのコツ・ポイントを意識した技術的なご説明が多く感じられ、レシピや技術的な部分における質問が多く飛び交いました。
講師:ジル・マルシャル氏
日程:2018年9月12日(水)
場所:ドーバー洋酒貿易株式会社